
北京に3泊した後、上海へ飛ぶ。エアー・チャイナでわずか1時間40分のフライトだ。人口1400万人の大都市、上海は北京よりもさらにパワフルなエネルギーを発散していた。まるでUFOがてっぺんに降り立ったような斬新なデザインのビルや、東洋と西洋のモチーフがミックスされた高層ビルが立ち並び、ニューヨークを思い起こさせる。 北米でないことが明らかなのは、アパートの窓から、垂直に竿が何本も突き出てて、洗濯物や布団の満艦飾を目にしたとき。低層アパートから地上20階近い高層アパートまで、洗濯物が空中を泳いでいる様は、もしも、竿ごと布団が落ちたら・・と思うと怖い。せめて、バルコニーの中に干せば良いのに・・・。
今度のガイドは若い女性の程さん。まだガイドなりたての新人なので、日本語はたどたどしく、名所の知識もガイドブックの域を超えないので、面白みに欠ける。ま、仕方がない。これから勉強を積んで、頑張って欲しい。 白玉(White Jade)で造られた釈迦像のある「玉仏寺」、明代の中国庭園「豫園」を巡って、飲茶の昼食。上海点心の代名詞と言われる「小籠包」がもちろん出てくる。 小さな薄皮にくるまれ、噛むと肉汁があふれ、アツアツがたまらなく美味!テーブルには次々と料理が乗り、食べきれないほどだった。 お腹が満ちたら、黄浦江に面した外灘(わいたん)で、そぞろ歩き。川沿いがテラスのように整備され、西側は旧上海租界時代の1920年代の西洋館が立ち並び、東側の川向こうには、数々の超高層ビルとランドマーク的存在である「東方明珠塔」がスカイラインを形づくっている。まさしく東洋と西洋が混沌と交わる都市だ。
上海博物館に到着すると、ぎょっとするほどの長_い人の列が、入り口から建物のまわりに沿って続いていた。程さんに言わせると、ちょうど「特別絵画展」が開かれていて、入場人数を時間で制限しているらしい。えー、そんな!これから列の最後に着いたら、入り口に到達するのは、明日の朝かも・・・、とうんざりしていたら、外国人やツアー客は常設展が目的なので、別の入り口からフリーパスで通してもらえ、ほっとする。 各部屋ごとに青銅器、陶磁器、書、絵画、貨幣、彫刻、家具など12万点にのぼる中国古代芸術博物館だ。全部はとてもまわりきれないので、陶磁器と玉器の部屋だけをじっくり見た。 約4千_6千年前の陶磁器や工芸品の中には、見事に洗練された芸術品があり、緻密に細工されたヒスイなどは「当時、どうやって作ったか謎である」という説明書きが。 悠久の歴史を感じながら、博物館の外に出ると、我慢強く待つ一般市民の行列がまだ延々と続いていた。 「次は上海市内で、もっとも人口密度が高い場所へご案内します」と、程さんの言葉で、南京路歩行者天国へ行く。 確かに銀座の歩行者天国に似ているが、もっとスケールが大きい。しかも、週末のため、どっと人が繰り出していた。多い時は100万人の人出とか。 しゃれたブティックやデパート、喫茶店が多いが、お値段が張って、買い物しようという気になれない。人の波にのまれたまま、南京路を往復歩き、くたびれただけだった。
ツアーの最後2日間は、フリータイムだったので、ホテルの朝食を済ませると、タクシー(10元=2ドル)でジアン・ヤン・マーケットへ。中国はタクシー代が安く、かなりの距離を走っても10元程度。チップの必要がないのもうれしい。 通りの両側に粗末な作りの店が軒を連ね、またしても人でごちゃごちゃの状態。このマーケットこそ、「ブランド物」が破格の安さで買える知る人ぞ知る市場なのだ。 衣料品、かばん、くつ、DVD,ゲーム類、時計など何でも揃っている。 面白いのは、店先にぶらさげてある品物は、なんの変哲もない普通の商品で、店の人と「グッチ?ビュトン?カルチェ?」と交渉を始めると、店の奥や引き出しの一番下から、ブランド物を出してくれる。 ワイシャツやセーター類も、陳列してあるものは「無印」だが、実際に買うものは「バレンティノ」「ダンヒル」「ポロ」「バーバリー」といったネーム・タグがついてくる。 マーケットの通りを絶えず2,3人の警官が行ったり来たりしている。その警官の目をかすめるように、買い物が進んでいるのだ。
あまり値切りすぎて、店の人があきれて商品を棚に戻した場合もあったが、だいたい5,6割はまけさせて買うことができた。カシミアのポロのセーターが75元(15ドル)なんて、信じられる?ローレックスの時計にしても、にせブランドに違いないが、そのコピー技術はたいしたものだ。だいたい、ブランド物のほとんどは、中国製ではないか。ということは、ブラック・マーケットで流入した本物も混ざっているのかも。 息子はDVD映画の海賊版を山と買ってきた。1枚2ドルという安さだ。カナダに戻ってからDVDを見たが、ほとんど見劣りのない質の良いものばかりだった。 買い物の面白い経験からも、中国人は日本人と違うなあ、と痛感した。背伸びして、大風呂敷を広げても、悪びれることなく堂々としている。 エネルギッシュな自信ある中国人の底力が、急速な経済の発展と近代化につながっているように思えた。 初出:「日加タイムス」2003年3月7日 |
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