
ビクトリアの春は早い。バンクーバー島の最南端にあるブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリアは、カナダで最も温暖な土地だと言われている。2月になるとクロッカスや雪割り草が咲きだし、寒桜も花をつけ始める。3月には桜並木が次々と開花する。そう、ビクトリアでは市内に桜前線があり、並木道ごとにタイミングをずらしながら満開になるのだ。 毎年一番乗りで開花するのが、ビュー・ストリート。濃いピンクの八重咲きの桜だ。二番手はリッチモンド・アベニューの桜並木。この並木道は道路の両側から覆いかぶさるように枝が伸び、美しいピンク色のアーケードになる。そのあとは、イェイツ・ストリート、フェアフィールド・ロード、モス・ストリートという具合に、まるで計算されたかのように、実にうまく順々に満開になってくれるのだ。 ![]() 今年の桜は、冬の記録的な雨量が幸いしてか、どの種類の桜も花をたわわにつけた見事な満開ぶりである。遠くから見ると、モコモコのセーターを着ているように、分厚い桜の層が枝の先まで、たっぷりと覆っている。どの桜並木も、今年はすごいヘビー級で、見ごたえ充分。 たかだか人口33万人のビクトリア。町はとてもコンパクトで、20分も車で走ると、農牧地が広がる郊外へ出てしまう。こんな小さなビクトリアの至るところに桜並木があると知ったときは、感激モノだった。主な道路だけでなく、気をつけて見ると、住宅地のほんの短い通りにも桜並木がある。 ただ、日本と徹底的に違うのは、カナダ人は花見という習慣がないこと。彼らにとって「花見」とは、文字どおり「花を見る」だけで、そこに「飲み食い」という行動は加わらない。公共の場(公園やバス・電車の中)での飲酒は、法律で禁じられているからだ。もちろん、アルコール抜きのピクニックなら大丈夫だが、今だかつて桜の下で弁当を広げている人を見たことがない。しかし、桜並木の下を散歩したり、ジョギングしたり、記念撮影したりして、それなりに花を愛で、大いに楽しんでいるカナダの人々である。 初出:「あそびすと」特派ルポ (2007年4月20日) |
ホーム‖戻る
Copyright (C) 2001-2007 Yumi Schemmer. All rights reserved.
This site best viewed using 800 x 600 screen resolution and True Colour display.