
「庭園都市」、「ブリティッシュ・コロンビア州の宝石」、「桃源郷」…など、ビクトリアを形容する言葉は、この街の美しさを賛美している。私もそれに異論を唱えるつもりはない。確かに、古いチューダー朝様式の家屋が並ぶ住宅街や、にぎやかなダウンタウンの外観でさえ、しっとりとした英国調の趣きがある。しかし!である。 最近の建築物と、それを取り巻くオブジェには、首をかしげるようなモノが目立つのだ。その代表格が「Save on Foods Memorial Centre」(画像1)。 正面に堂々と看板をかかげた建物を見て、「スーパーマーケットかな?」と皆さんは思うだろう。実は2年前に完成したコンサートホール兼スポーツ・アリーナである。 今まで、まともなアリーナが存在せず、アイス・ホッケー観戦が出来なかったビクトリア市民。その皆が心待ちにしていたスポーツ・アリーナだ。だが、建設に関わったメインのスポンサーが、ビクトリアに多くのチェーン店を持つ「Save on Foods」というスーパーマーケットだったので、建物は店の名前をそのまま引き継いだというわけだ。
![]() 何て、ダサくってセコい名前!だって日本語にすると「食料品で倹約しよう記念館」ではないか!実際このスーパーでは、会員になってレジのところでメンバーカードを渡すと、割引商品をぐーんと安くしてもらえる特典がある。私もカードを持っている(すっかりケチなビクトリア市民となっている私…)。 しかし、いくらスポンサーだからと言って、商店名をそのままビクトリアを代表するアリーナ名にして良いものだろうか?はっきり言って、私は外国からの有名な歌手やセレブに対して、恥ずかしい!「食料品で倹約しよう記念館」で、エルトン・ジョンのコンサートがあったら、大歌手ご本人も思わずのけぞるのでは?ああ、セレブが気の毒だ! 前置きが長くなってしまった。さて、このアリーナの正面の広場に、意味不可解なオブジェがある(画像2)。最初、遠目に見たときは軽飛行機が墜落した機体の半分だと思った。近くで見ても、メタルと石で出来たこの『芸術作品』は、何なのか全然わからない。 この物体がSave on Foods Memorial Centreの前にドーンと現れたときは、さすがに地元の新聞やラジオ番組に非難がゴウゴウと押し寄せられた。「目が痛くなるほど、見苦しい」とか、「オブジェのまわりにイングリッシュ・アイビー(ビクトリアのどこでも雑草のように生えまくるツタ)を植えれば、来年までにツタが醜い物体を覆ってくれるだろう」とか、「いったい誰がこの作品を選んだのか。責任者を出せ!」などと、皆が文句を並べた。 さらに新聞の投書欄には、他の見苦しいオブジェについても、市民が非難を続けた。私も以前から(どうしてあんなヘンテコなモノがビクトリアにはあるんだろう?)と疑問だったので、溜飲が下がる思いだった。 画像3は、ビクトリア警察署の前にある大きなオブジェ。半分溶けかかったような人間が、厚い大理石の塊を必死に下から支えている。うーん、悪に立ち向かい、街の治安を維持する警察の姿だと言いたいんだろうけど、歩道にのさばるようにそそり立っているので、ズバリ暑苦しい。 もうひとつメタルオブジェ(画像4)は、ビルの入り口に足をまたいだ巨大な蜘蛛のように見える。いったい何の意図があって、ここに置かれているのだろう。わからない…。そういえば六本木ヒルズにも、似たようなオブジェがあったなあ。やっぱり、これも芸術? ![]() 初出:「ワールドバザール21」各国いまどき報告(2006年5月15日) |
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