
そもそもビクトリア近辺でとれるオーガニックの農産物や地元アーティストを支援しよう始まったマーケットである。農薬や化学肥料を一切使わない野菜や果物は、昔懐かしい土の匂いがする。近年の健康志向の影響で、遠路はるばるこのマーケットにやってくる人もいる。
なかでも日本人夫婦が経営する「海波農園」の出店の前は、10時前から行列ができるほどファンが多い。小粒のイチゴは、びっくりするほど甘くて美味しく、大量生産していないので、限定品であることを常連客はよく知っている。何はともあれマーケットに着いたら、「海波農園」のテントへまっしぐら。小松菜、カブ、春菊、大根、小さめのナスやキュウリなど日本の野菜もあり、日系人にはうれしい限りだ。
さまざまな花別に種分けされた蜂蜜の専門店では、試食して気に入った蜂蜜を買うことができる。最近買って、うちの家族に評判が良いのは「ジャパニーズ・プラム」の蜂蜜。あっさりした甘みで後味が良い。
オーガニックの食材で作ったパンやパウンドケーキやパイも素通りできず、つい買いすぎてしまう。焼き立ての匂いにとうとう負けて、袋から取り出してつまみ食い。
一方、アーティストたちもテントの下で作品の展示販売に忙しい。陶芸家のとっておきの自慢の皿やコーヒーカップ。写真家が作ったフォトカードや額入りの風景写真、そのほかファッションジュエリーやティーシャツ、エプロン、編み物など、クラフト類がいっぱい市場にあふれている。
犬の散歩途中にマーケットに寄る人。友達にばったり会い、おしゃべりに熱中する人。店の人やそばで買い物する人と言葉をかわしながら、行き交う人たち・・・。モス・ストリート・マーケットはコミュニティーの社交場としても、なくてはならない市場である。
初出:「ワールドバザール21」各国いまどき報告 2005年6月20日号
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