
ここでは3種類の鮭を目にすることができる。コーホー、チャム、チヌックサーモンである。3_4才の成熟した鮭たちが、どのような記憶回路をたどり、何千キロも海を泳ぎ生誕地へ戻ってくるのか、学術的にはまだ完全に解明されていない。
流れの速い川に何度も押し戻されながら必死に川を上り、ごつごつした岩で身体をすりむき、目的地にようやく到着した鮭は、傷だらけで焦燥しきっている。それでも最後の力をふり絞り、メスは身体をくねらせ尾ひれを使って川底にくぼみを作り産卵する。オスはその傍で、まるでメスを護衛するかのように、じっと産卵を待つ。時にはオスのライバル同士が、メスをめぐって熾烈な戦いを展開することも。鮭のほとんどは一夫一婦制だが、チャムサーモンは、1匹のメスの卵に複数のオスが射精する場合があるそうだ。
卵が受精されると、メスは産卵した場所からわずかに離れたところで、再び身体を使って川底を掘る。しかも、川の流れを計算に入れ、上流側を掘るのである。すると細かい砂利がうまい具合に卵の上を覆い、保護してくれる。
死んで白っぽくなった大量の鮭から放出される腐った匂いが、あたりに充満し、思わず顔をしかめるほど。この時期は学校から見学に訪れる生徒も多く、公園のスタッフが死んだ鮭を前に説明していた。川べりでは、多くのカモメたちが鮭のご馳走にありついていた。公園内では、鮭目当ての熊も頻繁に出没するという。ボールド・イーグル(白頭鷲)も生息するので、12月末までには、死んだ鮭の姿はすっかり消えているだろう。まさしく見事な自然の食物連鎖である。
初出:「ワールドバザール21」各国いまどき報告 2004年12月13日
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