
地元の歴史家ジョン・アダムス氏の著書には、ビクトリアの幽霊の話が多く、先日彼の面白い講演を聞く機会があった。
ダウンタウンの一角に、バスチオン・スクエアという海洋博物館やカフェやレストランが並ぶ観光地がある。石畳が続き、ちょっとレトロっぽい場所で、旅行ガイドには「博物館は元裁判所で、館内にあるエレベーターは北米最古・・云々」と書いてある。私は以前、全く予備知識なしでこの場所を歩いたとき、何となく寒気がして嫌な気分になった。自分では霊感とか、あっち方面の感受性は鈍いと思っていたが、アダムス氏から「バスチオン・スクエアこそ、ゴーストスポットのナンバーワン!」と聞かされ、妙に納得してしまった。
1859年から1885年まで、バスチオン・スクエア一帯は刑務所で、当時「ハンギング・ジャッジ」の異名をとる裁判官が、次々と27人を絞首刑にしたという。今でも残っている狭い路地では、鎖をひきずる足音が聞こえたり、海洋博物館内でポルターガイスト現象が起こったりするそうだ。
このあたりにあるレストランやショップでは、幽霊にまつわる話がいっぱいで、博物館の真向かいのレストランCamilleユsは、スタッフが男女の幽霊によく遭遇し、そんなときは必ず葉巻の匂いがするらしい。
「ビクトリアの顔」と呼ばれるエムプレス・ホテルは、ツタのからまる威風堂々たる外観や、重厚なアンティークの調度品に囲まれた部屋で有名だ。そりゃ、幽霊さんが出やすい雰囲気だよね、と思うのは私だけではないはずだ。
有名なホテルだけでなく、町の小さなベッド&ブレックファーストでも、宿泊客が幽霊と同室になってしまうことが多々ある。この紙面でいちいちB&Bの名前をリストアップするのは避けるが、ぜひそういうB&Bに泊まってみたいと興味のある人は、ジョン・アダムス氏のホームページをご覧ください。www.discoverthepast.com
アダムス氏は毎年夏になると『幽霊散歩』のガイドとして、ビクトリアのゴーストスポットを2時間かけて散歩するツアーを企画している。イベントの圧巻は、ハロウィーンの前2週間に渡って行われる"ゴースト・フェスティバル"。町を挙げてのお祭りだ。
彼は『ディナー・ゴースト』も月に1度催している。由緒あるレストランで、その場所にまつわる怖い話を聞きながら3時間の夕食会だ。いつか絶対に参加しようと心をゾクゾクさせている。(私も好きねー!)
初出:「オーロラ」第45号、2004年夏
http://www3.sympatico.ca/dosgatas
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