カナダのニュース

多言語社会を支える政策

 2001年の国勢調査の結果が発表され、その中でカナダ人の母語の傾向が、大きく変化していることが明確になった。

 カナダは英仏両語を公用語としており、英語を母語とする人は、全体の59.1%。しかし、フランス語の場合は22.9%にすぎず、そのほとんどがケベック州に在住している。

 英語とフランス語以外が母語である、と答えた人は533万人で、4年前の国勢調査より12.5%増えた。カナダ人の6人に1人の割合だ。その内訳を見ると、中国語がトップで約87万人。以下、イタリア語、ドイツ語と続くが、リストされている言語の数は100以上。

 増加の著しい言語は、パンジャビ、ウルドウー、タガログ、タミール語などアジア系が目立ち、カナダへやって来る最近の移民の傾向をそのまま反映している。

 一方、次点のイタリア語は、現在のイタリア系人口の4分の1が65歳以上で、減少傾向にある。ヨーロッパ系のコミュニティーは、高齢化しているのが現実だ。

 トロントでは、さまざまな言語の新聞が発行されている。日刊、週刊紙を含めると、100種類ほどの外国語新聞が存在する。

 政府の発行するパンフレット類も、英仏語だけでは間に合わず、中国語、イタリア語などの翻訳物を用意している。先日訪れた病院の待合室では、6ヶ国語で注意事項が書かれてあり、ずいぶん良心的だなあと感心した。

 もうひとつ感心する政策に「継承言語プログラム」がある。アラビア語、ドイツ語、スペイン語、ヘブライ語、ギリシャ語、韓国語、中国語、日本語など20カ国以上の言葉が、平日の夜か土曜日に公立学校で教えられているのだ。この無料プログラムは、移民の子供たちが自分のアイデンティティーを見つける上で、大いに貢献している。

 さらに、移民が一日も早くカナダ社会に順応できるよう、成人向けや子供のための無料英語クラスも充実している。

 政府の国民への面倒見の良いカナダは、ますます「多言語社会」を形成しているようだ。

初出:「婦人公論」海外女性通信 2003年3月7日号


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