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青少年の更生に犬が一役

 オンタリオ州の動物愛護協会で実践されている犬の訓練が、一石二鳥の効果を上げている。

 このプログラムが始まったのは、ちょうど2年前。未成年の犯罪者にコントロールのむずかしい犬の訓練という責任ある仕事をさせてみたら、という試みからだった。

 訓練される犬は捨てられたり、人との接触がなかったり、虐待されたりした結果この愛護協会にやって来たという不遇な過去を持つ。こういう犬は、人間への不信感が大きく、なかなか一筋縄では訓練できないものだ。

 そんなむずかしい犬の訓練という、たいへんな仕事を与えられる青少年自身も、家庭内暴力や虐待の過去があったり、犯罪を繰り返す常習犯だったりする。彼らは感情、特に怒りのコントロールができず、すぐ爆発する傾向にある。

心理学の専門コーディネーターとプロの訓練士の監督のもとで、1時間ずつ週3回の割合で4ヶ月にわたる犬の訓練が行われる。もちろん、ひとりが最初から最後まで同じ犬を訓練する。

 初めに誰もが経験するのは、犬との対立。言うことをきかない犬に、いらいらし、失望し、むやみにおこったりというドラマが展開する。しかし、その嵐の中で彼らは自分の感情をコントロールする術を学ぶという。

 犬の心には偽りがない。犬の正直な反応に対して、人は自分と向き合うことになり、いつの間にか自分も訓練している。

 そして、犬との間に強い絆が生まれるが、やがて別れの日がやってくる。訓練を終えた犬は、一般家庭へもらわれていくからだ。  「プログラムの最後の日は、子供たちは犬に抱きついて大泣きするの。でも、訓練をやり遂げたという充実感で、どの子も満足するのよ」と訓練士のジョアンさんは言う。

 こうして、これまでに33人の卒業生と42匹の犬が巣立ち、41匹の犬がもらわれていった。現在は7回生のプログラムが進行中である。

初出「婦人公論」「海外女性通信」2002年12月7日号


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