異文化考察

バーンズ・ナイトを祝うスコットランド系カナダ人


 1月25日はスコットランドの有名な詩人、ロバート・バーンズの誕生日。毎年この日は「バーンズ・ナイト」といい、スコットランドの血を引く人々が伝統的な祝賀を催す。

 1759年1月25日、ロビー(スコットランド英語の発音だと"ラビー")は貧しい小作農民の7人兄弟の長男として生まれた。

 貧乏なため、普通の教育は受けられなかったが、英文学と聖書を熱心に読む子供だった。父親が亡くなった後、弟と農業を継ぐはずだったが、骨の折れる農作業よりロマンチックな作詩に興味があったロビーは、ハンサムな容貌も手伝い、数々の女性遍歴を重ねていた。

 1786年処女詩集が出版されると絶賛を浴び、数週間で無名の田舎詩人から国民的詩人としてその名を確立させた。彼の子供(双子)を産んでいたジーン・アーマーと結婚、エディンバラに落ち着くことになる。

 ところが、10年後の1796年、ジーンが末息子を産んだ同じ日、ロビーは心臓病で亡くなる。享年わずか37歳だった。

 ロビーが作った詩は400以上。彼の誕生日には、多くのスコットランド人が詩を口ずさみ、名物料理ハギスとスコッチウィスキーで祝う風習となった。

           

おお、ハギスへの演説とは!

 たいていのパブでは、この日のために特別のイベントが用意され、とても興味深い。伝統にのっとり、バグパイプの演奏とスコティッシュ・ダンスの後、うやうやしく「ハギス」が登場する。

 バグパイプを先頭に、大皿に乗ったハギスを掲げたパブのマスターが店内を一周し、ハギスはテーブルの上に置かれた。さあ、これからロバート・バーンズの有名な詩"Address to a Haggis(ハギスへの演説)"が朗読される。

 スコットランド訛りの英語なので、ほとんど理解できないが、内容はハギスを優雅で活力に満ちた食べ物だと礼賛し、朗読者は大げさなジェスチャーと共に、ナイフでハギスを切りつける。全部で48行に渡る詩が終了すると、いよいよハギスが客全員にふるまわれる。

 さて、ハギスとはいったい何で出来ているのか?答えを簡単に言ってしまうと、羊の胃袋に詰めたミートローフである。羊の肝臓、心臓、肺をすべてミンチ状にし、玉ねぎのみじん切りとオートミールを混ぜ込み、羊の胃袋に入れて煮込んだ料理で、たいへん手間と時間がかかる上、羊の内臓という材料がなかなか手に入らないので、今では「まぼろしのハギス」と呼ばれるほど。

 味?これが意外にいけるっ!カイエン・ペッパーやマージョラムの香辛料がきいていて、しっかりした味付けで、グレービーなしで食べるのが納得できる。内臓といっても、口の中にまったりとするような粘り気はなく、オートミールや玉ねぎの歯応えも良く、実においしい。

        

スコットランド系カナダ人の歴史

 ご存知のようにスコットランドは英国の一部であり、独立国ではない。しかし、特色ある文化と伝統を誇るスコットランドの人々は、自分たちをまず"スコッツ"であると考え、次に"ブリティッシュ"であり、決して"イングリッシュ"ではないと言う。

 最初のカナダへの大量移民は1772年にプリンス・エドワード島に到着した約300人のハイランド・スコッツだ。彼らのほとんどは小作人で、地主が農業を営むより、羊を放牧するほうが高利益だと、小作人を土地から追い出したことに起因する。翌年には200人がヘクター船(スコットランドのメイフラワー号と言われる)で、ノバスコシアへ移住した。

 1996年の国勢調査によると、カナダ全州合わせてスコットランド系は、426万人を超え、英国系、仏系に続いて依然として多数派民族である。

2004年2月1日



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