異文化考察

スウェーデン風クリスマス


 毎年トロントのハーバーフロントで催されるスウェーデンのクリスマス・フェアは、とても楽しくって素敵。

 主催するのはスウェーデン系カナダ女性の団体で、祖国の文化と伝統を伝えようと活発に活動している。

 クリスマスの音楽が流れる会場は、可愛らしいクラフトやカラフルな民族衣装を着たスウェーデン系カナダ人でいっぱい。ジンジャーブレッド・クッキーの香ばしいにおいが漂い、クリスマス・ムードは最高潮。

 会場の2階では、オーナメント作りの教室や、クリスマスツリーのまわりを輪になって踊るダンスの講習会、ジンジャーブレッド・クッキーの料理教室など、子供に楽しいプログラムが目白押しだ。このワークショップが目的で、毎年フェアに参加するという家族連れは多い。

ちょっと変わったサンタさん?

 スウェーデンでは5歳児ほどの背丈の、わらで作ったヤギをクリスマス・ツリーの脇に飾る風習がある。ヤギは人々を悪霊や不幸から守ってくれると信じられているし、ユールトムテンはヤギの引くそりに乗ってくると言われているからだ。

 キリストが生まれたのは、家畜小屋のかいば桶の中だったことから、わらはクリスマスを祝う時の大切な材料のひとつ。わらは、食物と繁栄のシンボルでもある。ツリーのオーナメントも、わら製の星や天使などが多く使われる。

 さて、一般に語られるサンタクロースとユールトムテンは大違い。スウェーデンでは、クリスマスイブの午後、誰かがドアを叩く(ことになっている)。家の中にいる子供たちが、息をのんでドアを開けると、そこに立っているのは、赤いローブをまとった白い髭の妖精"ユールトムテン"。(たいてい父親か年長の息子がこの役につく)。

 「この家に良い子はいるかな」

 ユールトムテンは担いだ袋からプレゼントを次々に出して子供たちに渡す。

 そのあと、クリスマスツリーの横にすわって、お茶とデザートをご馳走になって帰っていく。この妖精、サンタクロースのようにでっぷりと太っていない。小柄でやせぎす、しかも少々気が短いとか。

 サンタさんのイメージは、世界中で共通だと思いきや、やっぱりところ変われば・・なのである。

ルシアの行進

 スウェーデンのクリスマス・フェアのハイライトは、聖ルシアと子供たちの行進とキャロルの合唱だ。  聖ルシアはAD304年12月13日にローマ帝国ディオクレチアヌス皇帝から迫害され、殉死したイタリア生まれのキリスト教徒。

 キリスト教に改宗したバイキングたちによって、聖ルシアの話がスウェーデンに持ち込まれたらしい。

 誰の耳にも馴染みのあるイタリア歌曲「サンタ・ルチア」を歌いながら、行進は客席からステージへと向かう。

 スウェーデン語の「サンタ・ルチア」も、なかなか趣きがある。

 先頭の聖ルシアは、頭にろうそくの冠をかぶり、純白のドレスに赤くて長いベルトをしている。あとに続く女の子たちも、白いロングドレスだが、冠とベルトは銀色。手にはろうそくを持っている。ルシアは「聖なる光」という意味だ。

 男の子はふたり行進につく。ひとりは白い円錐形の帽子をかぶって、棒の先につけた大きな星を掲げ、もうひとりは、茶色の服と赤い帽子の小人役。

 スウェーデンでは、12月13日の聖ルシアの日に、母親か一番年長の娘が朝早く起きて、白いドレスにろうそくの冠という格好で、朝食を家族のベッドルームまで運ぶ習慣がある。

 代表的なクリスマス・イブの料理は、Sun cured cod(干しダラ)とローストハム。デザートはライス・プディング。プディングの中に金の指輪(アーモンドの実のときもある)を隠し、当たった人は一番早く結婚すると言われている。

 「グルッグ」もなくてはならない飲み物。赤ワインにシナモンやオレンジの皮などのスパイスを混ぜて、ホットにして飲む。

北米とはひと味違うスウェーデン風のクリスマス。カナダ全土には、約28万人のスウェーデン系が住んでいる。

 トロントで、こんな素敵なクリスマスの経験ができるのも、オツなものだ。

2002年12月1日



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