
今年の中秋の名月は10月6日。日本では昔から月にはウサギがいて、餅つきしている、と子どもたちに聞かせてきた。幼い頃には、じっと目を凝らして満月を見つめると、本当のウサギが餅つきをしているように見えたものだ。 さて、中国では月にまつわるどんなおとぎ話があるのだろうか?今回は、中国版、中秋節をご紹介しよう。
ところがホウイは権力を握ると、人が変わってしまい、毎日酒に溺れ遊び暮らしていた。彼の美しい妻、チャングエはホウイを心配し意見するが、彼は一向に聞き入れない。ホウイは王の地位が永遠に続くよう、不老長寿の妙薬を手に入れる。それを知ったチャングエは、彼が妙薬を飲めば、人民はいつまでも不幸なままだと思い、自分が妙薬を飲んでしまう。すると、チャングエの体は空中に浮き上がり始め、大勢の人々が叫び見つめるなか、空高く月へと昇っていった。 ホウイは慟哭し涙にくれ、妻の部屋から見つかった手紙を読んで、彼女がどれほどホウイや人民のことを案じていたかを知った。その後、ホウイは改心して、良い王となり、人々を幸せにした。月で生き続けるチャングエは、夫の改心を喜び、自分がしたことは、間違っていなかったと安心したのだった。 人民はチャングエに感謝し、陰暦8月15日を記念して、中秋節を祝うようになったのである。
ところで、この月餅には中秋の祝いだけでなく、中国人にとっては、特別な意味がある。時は13世紀、モンゴル人のチンギス・ハンから始まった中央アジアの征服は、5代目のフビライ・ハンに至って、史上空前のモンゴル帝国を築いていた。まもなく中国全土は征服され、宋は滅び、国号は元と定められた。 中国人(漢民族)は、中秋節の間に、月餅の中に秘密文書を埋め込み、みんなに配った。その文書には、モンゴル人に対して決起する計画が書かれていたのだ。企て通り、軍隊や支持者が立ち上がり、反乱を起こした。その結果、元は滅び、漢民族の明国が建てられた。1368年のことである。 毎年、中秋の頃になると、何気なく食べてしまう月餅。でも、こうして歴史を紐解くと、漢民族の誇りあふれる血潮が脈々と流れている、意義深いお菓子だとおわかりになるだろう。ずっしり重い月餅を、どうぞじっくり味わってくださいね。 (2006年9月30日) |
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