
バンクーバーへ引っ越したベトナム系と中国系のカップルが、最近我が家へ遊びに来て、「あー、トロントってほんとに、いろいろな民族がミックスしていて、とっても自然で気が休まる」と言うのでちょっとおどろいた。だってバンクーバーは、今や中国系やインド系が大勢住んでいて、ますますアジア・タウン化していると聞いていたから、ベトナム系と中国系にとっては、きっと住みやすい街なんだろうと想像していた。 しかし、彼らが言うには「それぞれのエスニックが住んでいる地区がきっちり分かれていて、いろいろなエスニックが混ざることがない」そうだ。だから、ヨーロッパ系の白人ばかりがいる町とか、インド人がほとんどのコミュニティーとかが確立しているらしい。
しかし、トロントの中心街に行けば、それこそ人種、民族ごちゃまぜの顔ぶれになる。第一、人口が200万以上のカナダ最大の都市なのだから、いろいろな人であふれかえっているのは事実だ。地下鉄やバスに乗ると、まさに国際連合という形容詞がぴったりなくらい、あちらで中国語が飛び交い、こちらでジャマイカン・アクセントの英語が聞こえるといった光景がごく普通のトロントの毎日だ。 2000年のカナダ統計局の数字を見ると、その年227,000人がカナダに移住し、47.5%にあたる108,000人がトロント入りしている。バンクーバーへは意外にも14.6%しか移住していない。モントリオールは12.4%だ。また、トロントへ来た移民のトップ10は、
なにしろ、1961年の国勢調査では、トロントの人口のわずか3%がVisible Minorities(少数民族=白人以外の民族)だったのに、2001年の調査では53%に急増していたのだ。これでは「過半数の少数民族」ということになり、いよいよ将来は白人と少数民族の立場が逆転するのだろうか。
移住者の親や子弟を対象にしたESL(English as a Second Language)教室が各地にあり、すべて無料で受講できる。移住者が英語を一日も早く習得できるように配慮した親切なシステムだが、赤字経営のトロント市はやむなくESL教室を縮少しつつあるのが現実だ。 カナダが多文化主義を実行し続けるために支払う代償は大きい。移民が持ち込む問題も数多く、カナダはこれからも試練を乗り越えていかなくてはならない。 しかし、祖国の戦火から逃れ、民族摩擦のない平和なカナダにやって来る人たちは、安心して暮せる幸せを得て、カナダのふところの大きさに感謝している。 「多様文化主義をただ単に認識するだけではいけない。私たちはカナダ人という共同体のアイデンティティーに不可欠な一部として、多様文化を尊重し、評価し、育むことが必要だ」とトロント評議会の報告書に記されている。 そんなトロントに住んでいることを心から誇りに思う。 2002年5月1日 |
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