カナダのニュース

公邸をカナダのショールームにしたカナダ領事のビジネスセンス
「カナダハウス名古屋」を訪ねて

 7月1日のカナダ建国記念日から2日たった日曜日、名古屋にあるロバート・メイソン領事公邸で、カナダクラブ主催のパーティーが催された。

 カナダクラブとは、名古屋と周辺地域に住む在日カナダ人とカナダに興味がある日本人で作られた会で、1ヶ月に1回の交流や募金集めなどの活動をしている。

 この日、カナダのバースデーを祝うため、約60人の会員が集まった。それぞれが自慢料理を持ち寄り、メインはもちろんアルバータビーフ(パーティーに出席した人はひとり1000円の牛肉代を払っている。決して公費を使わないのが、えらい)。

 大きなステーキをバーベキューで自ら焼くメイソン領事とキッチンで忙しく立ち働くジャネット夫人は、「カナダハウス名古屋」をいつも開放して、カナダ製品のプロモーションに貢献している。ふたりの庶民レベルに立った日加交流の仕方は、たいへん好感が持てた。

 さて、カナダハウスは敷地面積413平方メートル、建坪271平方メートル(2台分の車庫を含む)で、日本の住宅事情を考えると大きな家なのだろうが、カナダの標準と比べると、領事公邸にしては手狭な印象だ。

 しかし、狭い空間をいかに広く見せるかという工夫は、なかなかのものだ。高い吹き抜けになったリビングルームや、鏡を上手に使い部屋に奥行きを見せるトリックや部屋の仕切りをスライディングドアにして、部屋を開放させる時は、ドアが壁の中にすっぽりと入ってしまうデザイン等々。

 パーティーの時の人の流れを計算に入れたキッチンとダイニングルームの配置。キッチンドアは、両手がふさがっていても開け閉め自由のスイングドアになっている。また、客をもてなすためのウェットバーがリビングルームの隅にかなりのスペースを取っている。

 部屋のインテリアはとても素敵だ。イヌイットのアートと日本の版画や書の額がうまく調和したリビングルーム。階段の手すりにメープルの葉をさりげなく飾ったり、ジャネットさんのセンスの良さが、あちこちで光っている。パウダールーム(来客用洗面所)の丸い窓にカナダ国旗のメープルがレリーフされていた。

 2X4(ツー・バイ・フォー)より50%も断熱効果が高い2X6住宅なので、断熱材は壁と床は15センチ、天井は22センチにもなる。夏涼しく、冬暖かいので、日本のような蒸し暑い気候の土地には理想的だ。その上、冬の暖房費は1ヶ月1万円以下で済むという。

 公邸そのものをショールームにするため、多くのメーカーの製品や異なった素材が使われている。ドアは6社、窓は2社の製品であり、床は1階は樫、2階はツゲで出来ている。

 そのほか、カーペット、カーテン、暖炉、照明器具からバーベキューセット、フラッグポール(家の前にはカナダ国旗が翻っている)に至るまで、ほとんどすべてカナダ製である。

 完成直後にオープンハウスを3日間に渡って開催し、なんと約3千人の一般市民がカナダハウスを訪れたそうだ。地元のマスコミにも大きく取り上げられた。

 このような評判のおかげで、すでに約20軒のカナダハウスが売れ、名古屋周辺に建設されているという。 「私はカナダのためのセールスマンです」と言い切るメイソン領事を後日インタビューするため、名古屋市内の中心部に位置するカナダ領事館を訪れた。

 朝7時にはオフィスに到着するという精力的なメイソン氏は、領事館もカナダのショールームにしてしまった。 おなじみのカウチンセーターやメープルシロップに混ざって、チョコレート、ビール、ジュースなどがテーブルの上に所せましと並べられ、タイルやモールディング、キッチンキャビネットのサンプルなど、あらゆるカナダ製品がディスプレイされている。

 ログホームのカタログや2X4住宅のパンフレットも数多く用意されていた。そのほかカナダ留学に関する資料とか、とにかく間口が広い。

 また、メイソン夫妻の私有書籍を集めたミニ図書室もあり、会員制で在日カナダ人に貸し出している。

 カナダの横顔は、まだ日本人によく理解されていない。「森と湖の国」「イヌイットが住む極寒の土地」といった古いポスターのようなイメージから脱皮するためにも、カナダの日本向けビジネスを促進するのは、大きな意味がある。

 名古屋で対日輸出の拡大に一役買っているカナダハウスとメイソン領事夫妻。おふたりに拍手と声援を送りたい。

初出「日加タイムス」1994年9月16日号


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