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アフタヌーンティーでリラックス

 ビクトリアはカナダの中で、最も英国の雰囲気が漂っている土地である。街の外観ひとつとっても、古いチューダー朝様式の家々が多い上、ここに住む人たちもイギリス系のカナダ人が過半数だからだ。

 古いものを大切にするビクトリアの人たちは、アンティークに囲まれた居間で、午後のひとときを「お茶する」のが大好き。私も3年前にトロントからビクトリアへ引っ越して以来、たくさんのお茶の招待を受けてきた。そんなときの誘い文句は、「コーヒーでもどう?」ではなく、「お茶にいらっしゃいません?」である。

 あるイギリス系の友人は、毎日4時まで働いているにもかかわらず、毎週金曜日の5時には、近所に住む両親を必ずお茶に呼ぶ。天気のよい日には庭のパティオで、丹精込めた花々を愛でながらのティータイム。親子のコミュニケーションの潤滑油になるだけでなく、心からリラックスできる癒しの時だ。

 同じ北米でも、ビクトリアから目と鼻の先にあるアメリカがコーヒー文化なら、カナダは頑固なほどにティー文化にこだわる国だと言えるだろう。街のあちこちにある喫茶店は、アフタヌーンティーをメニューに加えているところが多い。

 一口サイズの上品なサンドイッチ、小ぶりのケーキやタルト、デボンクリームにジャムを添えたスコーン(別称ティービスケット)、その上、新鮮な季節の果物が3段のお皿に乗っていて、ボリュームたっぷり。しかも紅茶の種類の豊富なこと!最近はカフェインなしのハーブティーが人気の的だ。

 私も英国風に自宅でのアフタヌーンティーを催してみた。近所のデリカテッセンから、チーズの盛り合わせをテイクアウトし、小さなサンドイッチやクッキー、バタータルトなどを調達。さらに腕をふるって作ったホームメイドのケーキやフルーツサラダをテーブルの上に彩りよく配置し、とっておきのローゼンタール製のティーセットで準備完了。

 飲み物はもちろん紅茶にしたかったのだが、「おちゃ」より「おちゃけ」が大好きな酒豪の女友達が10人近く揃ってしまい、予定を変更して、ワインで乾杯することに…。 それでも美味しいチーズや甘いケーキなどを肴に、ワインのビンが次々に空になるほど、大いに飲んでおしゃべりし、愉快なアフタヌーンティーだった。

初出:朝日新聞「世界のウチ」2006年11月15日


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