カナダのニュース

ガレージの変貌

 ガレージとは本来、自家用車を駐車し、収容するための場所である。カナダの一般家屋では、玄関横には表の道路から車が通れる幅のドライブウエイがあり、その先がガレージとなっている。家屋とつながっているガレージ、家と離れたところに独立して建っているガレージなど、形はそれぞれだ。

 カナダのオンタリオ州に住んでいたとき、ガレージは必須だった。なぜなら、雪の多い気候がら、朝起きたら車が雪にすっかり埋もれていた、なんていうのは最悪の悲劇だからだ。郊外に建つ敷地の広い家だと、3台分の車収容可能のガレージ付きも、珍しくない。

 しかし、ブリティッシュ・コロンビア州のビクトリアでは事情が全く違うことに気がついた。年間を通して温暖な気候のこの土地では、冬の降雨量は多いものの、雪が降ることはめったにない。したがって、自宅の前にある公道に路上駐車している車が、たいへん多いのだ。

 たとえ持ち家にガレージがあっても、車を収納する必要性があまりないため、ガレージの役目を果たさず、物置になっていたり、日曜大工の作業場になっていたりする。たしかに、地下室つきの家が少ないビクトリアの家では、とりあえずガレージにガラクタを置いておくと、年月とともにますますガラクタが増大し、やがて車を置く場所がなくなってしまう。また、プロ並みの腕前を誇る日曜大工を趣味とするお父さんのいる家庭では、本格的にツールを揃えて自宅の改装や増築作業をやりこなしてしまうので、当然ながらガレージは大工道具の山に囲まれた工房となる。

 もっと面白いのは、犬のグルーミングスタジオとか、ヘアーサロンに変身しているガレージがあることだ。市役所にわずかな登録料を振り込むだけで、店を開業できるので、ガレージのスペースを利用した賢い在宅ビジネスだ。さらに、ガレージをベッドルームに改造し、賃貸ルームとして、ちゃっかり副収入を得る家も。

 ビクトリアの街並みを歩いていると、そんな元ガレージの面影を残した家の数々を見ることができる。

初出:「朝日新聞」 世界のウチ 2005年3月16日号


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