
湖をはさんだ対岸には、ダウンタウンの摩天楼や世界一の高さを誇るCNタワーを望む。昼間の眺めはもちろん、夜、ライトアップされたスカイラインも見事。ピクニックエリアや公衆トイレが完備され、子供が喜ぶ遊園地もある。犬を連れての散歩や、湖岸では水泳も楽しめて、毎年122万人が訪れる観光スポットである。
この島には262軒の家があり、約600人の住民がユニークなコミュニティーを作り上げている。島内では自動車がいっさい見当たらず、島民の多くは毎日自転車に乗ってフェリーでトロントまで出勤する。別荘地のような環境と、目と鼻の先にある都会の便利さを両方堪能できる、夢のようなアイランドだ。
ところが最近、オンタリオ州環境相から問題発言があった。公共の土地に建つ個人住宅は、1993年に役所と99年間の賃貸契約を更新したのだが、その賃貸料は1日1ドルという超破格。大臣は「トロントの一等地でこんな安い賃貸料は、けしからん。もともと自然公園であるべきトロント・アイランドから島民は退去すべきだ」と提案したのだ。
それに対して、島民のみならずトロントっ子たちからも、大反論が繰り広げられている。「散歩しながら、きれいに維持されている島の家々を見るのが楽しみだ。退去なんてとんでもない」という声がほとんど。
実際、トロント・アイランドに住みたい人の「順番待ちリスト」は長く、島民の誰かが転勤するか、亡くなる以外には入居の可能性がないというほど人気が高いのである。
初出:「婦人公論」海外女性通信 2005年3月22日号 |
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