カナダのニュース

カナダのフリーランス事情

 カナダは移民の国。世界中から毎年約20万の人々が、夢を託してカナダへ移住している。現在、第二次世界大戦以前の主な移住者であるイギリス及びフランス系、先住民族を除いた人々は、全人口の40%にもあたる。

 移民のための無料英語学校、無料の医療費、政府の助成金で運営される安い賃貸アパートなど福利厚生が整っているので、移民は恵まれた条件の下で新生活をスタートさせることができる。ちなみに、2002年に日本からカナダ移住した人の総数は約1万7000人。主に日系レストラン経営者やシェフ、ギフトショップ店員、観光ガイド、造園師といった職業に就いている。

 また、企業家や投資家といったビジネスクラスの移住をカナダ政府が奨励しているため、カナダ移民の60%は選抜労働者や個人事業者であることも特徴のひとつである。

 トロント生まれで25才になるウェブ・デザイナーのトーマス・シェマーさんは、フリーランサーの一人。レストラン、銀行、車のディーラーで働いた後に、5年前にメディア・デザインの会社を一人で立ち上げ、現在はウェブページヤコンピューターゲームのデザインに関わっている。
 「フリーランサーは、経済的には安全な職種とは言えないけど、成功の秘訣は人とのコンタクト。自分を積極的に売り込むことが第一だよ。口コミこそ最大のプロモーションさ」とフリーランスで成功するためのポイントを教えてくれた。やはりカナダでも、日本と同様に人脈と口コミは大切なようだ。

 カナダ人の18%は複数の母国語を持つか、公用語である英語やフランス語以外の母国語を話す。そのため、カナダ第一の都市トロントだけでも、様々な言語による出版物が100種類以上発行され、40を超える民族向けに新聞・雑誌が刊行されている。日本語の新聞や雑誌も多く、『日加タイムス』や『バンクーバー新報』といった新聞や『ふれいざー』『バンフマガジン』などがメジャーだ。

 「そのせいか、最近は若い日本人のフリーライターが急増しているみたいです」と語ってくれたのが、カナダ在住20年目の志摩夕美さん。志摩さんは、『日加タイムス』などのカナダの日系新聞や雑誌だけでなく、『婦人公論』をはじめ、主婦と生活社やNHKなど、日本の雑誌にも数多く寄稿しているフリーライターだ。長年フリーで活躍してきた彼女だが、新聞社や出版社との契約書などを用いた仕事のやりとりは、ほとんどないと言う。どうやら契約においても、日本と同じようにしっかりとした契約がなされていないようである。

 しかし、移民のフリーランサーが多いカナダでは、努力次第で十分活躍も期待できる。ワーキングホリデーでトロントを訪れた際に、すっかりカナダが気に入り永住した滝沢ひかるさんは、日系出版社で働きながら資金を蓄え、96年にコンピューターグラフィック会社を設立。現在はフリーランサーとして、ホームページのデザインや各種パンフレットの作成及び翻訳で忙しい。
 「自分が好きなことをあきらめず、やり続けて頑張れば、きっと道は切り開かれます」と笑顔でアドバイスしてくれた。

初出:Webマガジン「フリーランサー」


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