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他人の生活まる見えのハウス・ツアー

 週末の午後、住宅街をドライブしていると、"OPEN HOUSE"という看板が前庭に立っている家をよく見かける。売り出し中の家を文字通り一般の人々に「開放して」家を見てもらう、大々的な宣伝方法だ。

 オープンハウスはたいてい日曜日の午後2時間ほど。売り家のオーナーは外出させられ、不動産屋がハウスツアーを受け持つ。必ずしも本気で家を探している人だけでなく、ちょっと覗いてみたいだけ、という物見高い人も大勢やってくる。よそのお宅のインテリアや間取りを見ることができるチャンスだけに、オープンハウスをはしごするのが趣味なんて人がいるくらいだ。

 過去4回、カナダで家の売買を経験している私は、家の中をピカピカに掃除して、花で飾って、もうくたくた・・・というオープンハウスを何度かやったし、よその売り家を何十軒も見て回ったこともある。

 それにしても、家の中を見学すると、家族構成はもちろんのこと、年齢層、趣味、人柄までわかってしまうのは、ちょっと怖いくらい。お金と暇にまかせて、高価なアンティークで家中を埋め尽くした家があるかと思えば、離婚寸前の別居中で、奥さんが家具の半分以上をすでに持ち出してしまった家、手作りなのは結構だけど、床のタイル貼りが未完成の家など、生活状況が手に取るようにまる見えなのだ。

 一方、見学する人たちも臆することなく、寝室のクロゼットから洗面所の戸棚まで勝手に開けたり、キッチンやトイレの水を流したり、とことん家を吟味する。家を見せる人、見る人がここまでオープンな精神だからこそ、オープンハウスがずっと続いているのだろう。

 売り家の場合だけでなく、よその家に招待された際、家の主人が「家の中をご案内しましょう」と言って、ハウスツアーをすることも多い。これも、日本の家庭では体験できない、北米独特のもてなしの一つである。

初出:「婦人公論」海外女性通信 2004年1月22日号


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