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カナダのDo It Yourself(日曜大工)
- 夫婦合作は愛を深めるようでして -

  トロントから約40km北に位置する新興住宅地に住むサリーとジルは、典型的なDINKS(double income, no kids)のカップル。ジルは大手のクレジット会社に勤めながら、パートタイムの学生としてカレッジに通い、今年の夏に優秀な成績で卒業した努力家だ。サリーも看護師として忙しい毎日を送っている。

 4年前にふたりが購入した新築の家には、カナダの標準よりいくらか狭い裏庭がある。ここに置く物置小屋が必要になったとき、ジルは得意のDIYの腕を振るって、庭の一角をカバーするような三角形の建物を作った。庭のスペースを最大限に活用できる玄人はだしのデザインだ。そして、ここで終わらないのが、このカップルのDIYの面白さ。

 サリーが建物の圧迫感を軽減すべく、風景画をペイントしたのだ。小さな裏庭が、青々とした森の借景を得て、どこまでも続いているかのようだ。

 ジルが丹精こめて世話をする花壇は緩やかなカーブを描き、高低織り交ぜた様々な花が咲く。家の裏口から続くパティオは、カーテンで囲むことができ、屋根までついている。

 「ロマンチックなひとときには、最高にプライベートな空間だよ」

得意げに語るこの場所も、もちろん彼のお手製だ。至る所に、こんなサプライズをちりばめた住まいは、さしずめ小さなテーマパークといったところだろうか。

 一方で、サリーは余暇のほとんどをペンキ塗りに費やす。彼女はトロンプルイユという「騙し絵」が得意で、壁面に漆喰風のテクスチャーをつけ加えた上からペイントして、あたかも本物のレンガがはめ込んであるように見せたり、木目をリアルに再現したパネルを描いたりと、大変に芸が細かい。軽いダンボールの筒も、彼女の手にかかるとたちまち重厚感たっぷりのレンガの塔に変身する。

「ペイントは私のパッション」と言いきるサリーは、2年前にペンキを塗り替えた書斎に再び手をいれるという新たなプロジェクトに、意欲を燃やしている。

 キッチンをのぞいてみると、遊び心たっぷりの二人らしく、壁面に自分達の好きな食べ物や飲み物の名前が沢山書かれている。Bagle, Pizza, Souflleなどに交じって、Sushi, Sake, Ochaなんていう文字も。

 そう、ジルは巻き寿司を作ることが得意で、ホームパーティーでは、自分で腕を振るったカリフォルニア巻きで、友人達をもてなすくらいなのだ。

 日曜大工だけでなく、暮らしのすべてを共同作業で築き上げる二人の生活は、毎日が小さな冒険に満ちている。夫も料理、妻もDIY・・・男女の役割に線引きをする時代は、すでに終焉を迎えたようだ。

初出:「Dig Up」 創刊号(2003年12月20日発行) 主婦と生活社


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