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ストラットフォード・フェスティバル

 トロントから車で西へ2時間あまりのところに、ストラットフォードという小さな町がある。町の中を流れるエイボン川には、あちこちに白鳥が優雅に浮かび、川に沿って広がる芝生の上でピクニックを楽しむ人々がいる。

 そんなのんびりした田園都市だが、実はシェークスピア演劇場として名高い文化的な町として知られている。

 ストラットフォードでは、4月から11月まで約18の演目がほぼ毎日のように上演される。オンタリオ州だけでなく、アメリカからのツアー観光客も多く、毎年68万人近い観客を数えるという。 1953年に町の経済復興を目的にして、テントを張っての演劇祭がそもそものはじまり。予想以上の成功だったので、1957年には劇場を建築して演劇祭を開催し、現在では4つの劇場をメインにして、フェスティバルは恒例のイベントとなった。

 最近はシェークスピア劇のほかに、現代劇や親しみやすいミュージカルの上演も多く、家族揃ってのエンターテインメントとして人気がある。かくいう私も7月上旬「王様と私」のチケットを手に入れ、久しぶりのミュージカル観劇を楽しんだ。

 「王様と私」が上演された劇場は、ギリシャ円形劇場をモデルにした「フェスティバル・シアター」で、舞台を175度囲むように客席が設置され、収容人数1824名のこぢんまりした劇場。客席から舞台までの距離が、どんなに遠くても20mないというだけに、俳優のしぐさや舞台の細かい装飾が、手に取るように見える。

 ミュージカルの巨匠、リチャード・ロジャーズのお馴染みの歌にあわせて、おもわず体がリズムをとる。小さな舞台ながら、タイの雰囲気を豪華に演出した素晴らしいデザイン。美しい衣装の数々・・・。今年のストラットフォード・フェスティバルの目玉演目だけに、「王様と私」は見事なショーだった。

 さて、演劇についてもっと知りたいという人のために、ストラットフォードではバックステージツアーを上演前の午前中に、わずか7ドルの入場料で提供している。舞台装置の仕掛けや、大道具部屋などを見ることができるのだ。

 さらに、俳優や劇場スタッフと近づきたい人には、上演後に30分のディスカッションの機会を用意している演目も。また、劇場のまわりに咲き誇る花々をめでながら、ガイドの説明つきのガーデンツアーまである。

 演劇鑑賞だけで終わらない、おまけたっぷりのフェスティバルは、ストラットフォードをユニークな文化都市にしている。

初出:「ワールドバザール21」各国いまどき報告 2003年9月15日


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