カナダのニュース

ニューヨークもパリも撮影できる国

 カナダはアメリカ映画やテレビドラマの撮影ロケが頻繁に行われる。

 カナダドルは米ドルに比べて安いので、人件費や制作費が安く済むこと、自治体が撮影に協力的で、道路の通行止めが簡単にできることなどが、カナダを「ハリウッド・ノース」と呼ばれるフィルム産業地にしている。

 春から秋にかけ、トロントのラジオでは、撮影ロケのため閉鎖される道路情報をよく聞く。トロントのダウンタウンにイエローキャブを走らせれば、ニューヨークの街並みと錯覚するほど雰囲気は似ているし、モントリオールやケベックはフランスの街角を思わせる。

 アメリカのロケ隊が国境をほんの少し北上するだけで、北米のシーンだけでなく、ヨーロッパのシーンまで撮影できるのだから、こんな便利なことはない。

 一昨年カナダで撮影されたハリウッド映画は29本。TVドラマ、コマーシャルを数えると合計1211本にもなる。ロケ地は3799ヶ所に及んだ。アメリカ人がもたらした収入は前年比6.7%増の8億9千万ドル(約700億円)に上った。

 カナダにとってありがたい話だが、アメリカ側にすれば、この調子でいくと2010年までには4億1500万ドルの税収入を失うことになる。

 2008年のオリンピック開催地の夢が破れたトロントでは、それまで計画していたウォーターフロントのスポーツ施設建築を変更し、映画撮影所にしようという意見まで出てきている。

 風光明媚なバンクーバーも撮影地として人気が高い。これまでにも「Xファイル」「13ウォリアーズ」などのロケ地となった。

 カナダ人にとって、夏のオープン・カフェなどで、有名俳優を見かけるのは楽しみのひとつ。街角に姿を見せた俳優の写真が、ときたま新聞に大きく報道される。有名人が出入りするレストランは、口コミですぐ商売繁盛となる。カナダ人って、けっこうミーハーなのだ。

初出:「婦人公論」海外女性通信 2003年4月7日号


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