
特にアウトドア・スポーツを楽しむ人なら、きっと、このジリジリした待ち焦がれる気持ちを毎年経験しているだろう。馬好き人間もしかり。冬の間の屋内アリーナでの乗馬には食傷気味になり、青空の下での野外騎乗を今か今かと、心待ちにしている。
「森と湖の国」と呼ばれるカナダは、その名のとおり森が多い恵まれた環境だ。だが、こうした森のいくつかは人工的に作られたことを皆さんはご存知だろうか。
トロントから車で40分ほど北に上ると、あちこちに公共の森がある。今回は1924年にスタートした植樹プログラムの成果で、現在5000エーカーの豊かな緑地帯となっているYork Regional Forestをご紹介しよう。
1800年代、オンタリオ州の経済は急成長し、森林は伐採され道路や農地となり、町が形作られた。しかし、ヨーク地方の土地は砂地のため、作物を持続して収穫する農地には適していなかった。
やがて農地は耕されることなく見捨てられ、土地は荒れ果てたまま水枯れの状態で、鳥や鹿などの野生動物も寄りつかなくなった。
1900年代はじめ、緑を取り戻そうという住民の声により、森林再生委員会が1924年から植樹を始めた。おかげで現在は、豊かで健康的な森が確立し、ヨーク地方自治体が管理している。
これらの森はもちろん公共だから、誰でも利用できる。通称「Vivian Forest」と呼ばれるMcCowan Rd.とVivian Rd.周辺に広がる森は、野外騎乗するには最も適したところで、「知る人ぞ知る乗馬パラダイス」。起伏の多い変化に富んだトレイルと馬の足に優しい砂地の森は、春になると遠方からトレーラーで馬を運んで乗馬する人たちでにぎわう。夏は乗馬イベントで、何十頭もの馬が集合することもある。
乗馬をしない人でも、マウンテンバイクでトレイルをめぐったり、ハイキングも楽しんだりできる。サポートのしっかりしたウォーキングシューズがおすすめ。間違ってもサンダル履きで歩かないように。
春先には、わらびやクレソンやつくしを見つけたり、トリリアムの花の白いカーペットに出会ったりする至福の時を過ごせる。夏は野生のラズベリーやブラックベリーを食べながらの散策もおつなもの。秋はきのこ。ヨーロッパ系の人たちがバケツに一杯、きのこを採っていたりする。冬はクロスカントリースキーがいい。長い冬をエンジョイするには、スポーツを楽しむのが一番だ。
ところで、トレイルで乗馬している人に出会ったら、ハローとあいさつして、もし犬を連れていたら、しばらく綱をつけて自分のそばで犬を待たせるのが良いマナー。馬に慣れていない犬だと、どんな危険な行動を起こすかわからない。
私は馬の首に鈴をつけて野外騎乗している。こうすると、他の人たちに音で警告できるし、野生動物が目の前に飛び出す危険もない。(以前、馬の前を鹿がジャンプして横切り、もう少しで落馬しそうになった経験がある)。
公共の森を利用する際は、最低限度のマナーを守ろう。
それからもうひとつ注意したいのは、ポイズン・アイビー(つたうるし)。あいにくヨーク地区の森には、ポイズン・アイビーが群生している。わらびやきのこ採りに夢中になって、皮膚がかぶれることのないように。よく知らない植物は触らないのが得策だ。家へ帰ったら、手足を石鹸でよく洗おう。
さあ、あなたも春になったら、森林浴に出かけませんか。
初出「日加タイムス」志摩夕美のやじ馬通信 第3話 2002年3月15日号 |
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