
オンタリオSPCA訪問記
装いも新たに生まれ変わったSPCAを訪問し、コミュニケーション・ディレクターのジム・ポロック氏に話をうかがった。
●まるでホテル!明るく清潔な動物の部屋
オンタリオSPCAは、一般の人々に開放している。月曜から土曜日までは、11AM-6PM, 日曜日は11AM-4PMの間、誰でもSPCAの動物たちを訪問できる。
広く明るい受付けのホールを取り囲むように、ガラス張りの部屋がいくつもある。各部屋にケージ(檻)はなく、予想していた以上に動物本位の環境だ。清潔な床の上で、子犬が何匹も一緒になってじゃれあっている。大型の犬は1匹ずつ部屋を与えられている。部屋のすみには、ちゃんと犬小屋があり、おもちゃもころがっている。
猫の場合、各部屋にデラックスな登り塔がある。まだ完成していなかったが、猫の一部屋の天井近くにパイプをつなぎ、ホールにある「あずまや」まで猫が移動できるデザインにするとか。
訪問する人のための特別室もある。ここには椅子とテーブルが用意され、これから里親になる人と動物が、ゆっくり時間をすごせるように配慮されている。
このSPCAセンターでは、ワークショップや講演会用の大部屋から、犬のデイケア、グルーミング、診察所、ペット用品を売る店まである。
●パピーミル(子犬工場)摘発その後
去年の夏、トロント郊外のヴォーンとフェネロン・フォールズで摘発されたパピーミルのニュースは、新聞やTVで大々的に報道された。不潔な環境の中でノミとシラミがたかり、栄養失調と下痢に苦しんでいた230匹の犬たちは、SPCAに救助され、幸いほとんどが養子縁組に成功し、それぞれが新しいファミリーへもらわれていった(ニューマーケット本部には2匹だけ残り、7匹は病気のため安楽死した)。ニュースを聞いた人々からのドッグフードや毛布の寄付は、膨大な数になり、まだ部屋の中に山積みされている。
「SPCAは26の支部と33の外郭団体があり、動物の精神的、肉体的虐待を防止するため活動しています。我々のもとで、約300人の調査員が毎年1万5千件に及ぶ虐待の報告に対して実態調査します。オンタリオ州だけで、400のパピーミルが存在するんですよ」
とディレクターのポロック氏は語る。
「今、私たちが行っているキャンペーンは、動物愛護に関するOntario SPCA法を改正するため、C_15法案を条例化するよう働きかけています。この法案では、令状なしで調査員がパピーミルなど、動物虐待を行っている場所の家宅捜査が可能になり、一刻も早く動物を保護することができます。
また、虐待の有罪が判定された場合、現行では最高2000ドルの罰金でしたが、これが判事の判断で無制限の罰金が与えられ、懲役も最長6ヶ月からもっと長くなります。さらに、パピーミルも一生運営できないようになります」
キャンペーンのポスターは、パピーミルでの炎症が原因で片目を失ったコッカースパニエルのHoneyちゃんの痛々しい写真が「Honey Needs You」と訴える。
「ひとりでも多くの人々が、Ontario SPCA法の改正に賛助してくだされば我々も助かります。署名運動に参加したり、オンタリオ州のMPP(州議員)へ手紙を出したりすれば、必ずC_15法案は下院で審議されるでしょう」
なお、このHoneyちゃんはニューマーケットの北に住むファミリーに引きとられ、幸せに暮らしているので、ご安心を。
SPCAでは動物を連れて病院を訪問し、患者を元気づけたり、自閉症の子供たちの訪問を受けたりしている。また、広くボランティアを募り、16歳以上ならば誰でもセンターでお手伝いできる。
「ここに来る犬や猫は虐待されたり、捨てられたりして人との温かな接触に欠けた不遇な身の上です。そんな動物のそばにいて、優しくなでるだけで動物は癒されるのです」とポロック氏は言う。
また、SPCAが2年前から始め大成功を収めているのは、YAPP(Youth and Animal Pilot Project)というプログラムだ。
未成年犯罪者と一筋縄ではいかない難しい犬をペアにして、犬の訓練をさせようというこの試みは、予想以上の効果を上げている。
週3回、1時間ずつ4ヶ月に渡る訓練をプロの訓練士と心理学専門のカウンセラーの監督の下で行うのだが、訓練する側の若者自身が、虐待されたり、加害者だったりという過去を持つ。言うことをきかない犬との対立、怒り、失望、といったさまざまなネガティブな過程を経て、若者たちは強い責任感、情愛、尊敬といったポジティブな方向に態度が変わっていくという。
これまでに20人の卒業生が生まれ、訓練を終えた13匹の犬は一般家庭へもらわれていった。現在4回生のプログラムが進行中である。
オンタリオSPCAは、将来50頭の牛や馬を飼育できる厩舎を建設し、大きな動物の保護も可能な施設を目指している。また、けがをした野生動物のための病院や親を亡くした野生動物のリハビリも今後のプロジェクトとしている。人と動物の関わり合いを大切にするSPCAの今後の発展を期待したい。
Ontario SPCA 初出「日加タイムス」2002年1月18日号 |
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