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RCMPミュージカル・ライド

 RCMP(Royal Canadian Mounted Police)=カナダ連邦騎馬警官は、カナダ国民すべての愛国心を奮い立たせるシンボル。赤い上着、黄色の線が入った黒い乗馬ズボン、茶色の長靴と帽子に身を固めたRCMPは、非の打ち所なく完璧にカッコイイ。

 そのカッコイイRCMPが行うミュージカル・ライドは、36頭の馬が繰り広げる、まさにカナダが誇るべき世界に名だたるショーである。ミージカル・ライドを見たことがない人でも、旧50ドル紙幣の裏にデザインされていたドーム(写真参照)を覚えていることだろう。

 ミュージカル・ライドの歴史は古い。それはRCMPがまだNWMP(North West Mounted Police)と呼ばれていた1876年に初演された。騎兵隊の訓練で、馬のコントロール、タイミング、コーディネーションを上達させるための演習として編み出された。1886年にはレジャイナに乗馬学校が設立され、1年を通して馬の調教が可能になった。1920年NWMPがRCMPと改名されてからは、本部や乗馬学校がサスカチワンからオタワへ移った。

 ミュージカル・ライド騎手への道は狭き門。RCMPで2年以上勤務した者が志願できるが、毎年志願者は700―1000人。その中から45人が選抜され、6ヶ月のトレーニング後、最終的に選ばれるのは、わずか12―15人。また、1度選抜されなかった者は、2度と志願することができない。1発勝負なのだ。

 36人の騎手編成は、1年組14人、2年組12人、3年組10人で、3年間ミュージカル・ライドをやったら、現役を退くというサイクルになっている。これは、毎年50近いパフォーマンスで、カナダ、アメリカはもちろん、ヨーロッパへも遠征するため、家族持ちのRCMPがあまり長期間、家を留守にしないようにとの配慮からだ。

 馬の種類は、1980年代はほとんどがサラブレッド種だったが、89年ドイツからハノベリアン種を12頭購入し、サラブレッドとの混血を増やし、現在では170頭のうち1/2はハノベリアンの血が混じっている。というのは、ミュージカル・ライドの馬は黒くて背が16―17ハンド(1ハンド=4インチ)でほぼ同じ容貌でなければいけないからだ。また、サラブレッドは少々気質が荒く、黒い馬になる遺伝子が少ないのだが、ハノベリアンはとても穏やかな性格で、しかも黒い馬が多いというのも理由だ。

 馬の寿命はだいたい20―25才。ミュージカル・ライドの舞台で活躍する馬は、6―19才とのこと。高齢の馬は、騎手のための乗馬トレーニング用となる。

 ミュージカル・ライドは、乗馬を良く知らない人でも楽しく鑑賞できる。ちょっと懐かしいウェスタン調の音楽(Wagon Wheels, Buttons and Bows, Pass Me Byなど)の4ビートに合わせて、トロット(速足)で36頭の馬たちが、X字になったり、渦巻きになったり。その形態は見事なほど一糸乱れず、まさに壮観だ。

 騎手は右手に紅白の旗がついた槍を持ち、左手に手綱を持つ。ミュージカル・ライドの一部はキャンターもあるが、パフォーマンスのほとんどはトロットで、馬の動きが上下に揺れ続ける中、ずっと腰を鞍につけたままの乗馬は、かなりの技術がいる。

 鞍の下には黒と黄色のブランケットがあり、MPの文字と王冠のマークが。さらに馬の両側の腰は、濡れたブラシとステンシルを使って逆毛を立て、メープルの絵がくっきりと形作られているのに注目!いくつも円を重ねて右へ左へと回る時は、小さな円の馬はゆっくり歩き、大きな円を作る馬はキャンターで足並みをそろえる。ここまで見せるためには、毎日何時間もの訓練の結果、騎手と馬の呼吸がピッタリしてこそ!また、最後にチャージ!と称して、36頭が横一列に並び、いっせいにギャロップする様は圧巻。

 このミュージカル・ライドはRCMPのチャリティー・イベントであることも特筆すべきだ。非営利団体のためにライドは催され、毎年500万ドル以上の売り上げ金は、さまざまなチャリティーへ渡っていく。

 ウマ年の今年は、ぜひミュージカル・ライドを見に行こう!


ミュージカル・ライドのスケジュールとロケーションはRCMPのサイトをご覧ください。
http://www.rcmp-grc.gc.ca/musicalride/home.htm

初出 「日加タイムス」2002年1月1日号
「志摩夕美のやじうま通信 その1」より


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