| カナダ人の愛国心を代弁するルーツ・カナダ 1998年冬季オリンピック長野大会でカナダ選手が着ていたユニフォームを皆さんは覚えているだろうか。
ルーツ・カナダ製の赤・白斬新なデザインは、他国のユニフォームと比べて、格別目立ってカッコ良かったことを。帽子を前後ろ逆にかぶるスタイルは、カナダでも流行し、なんと30万個以上売れた大ヒット商品になった。
創立以来28年目を迎えるルーツは、次々と新しいビジネスアイデアを実践し、成長し続けている。日本にも「ビーバールーツ」の商標で、店舗を出している。
Made in Canadaのお土産用にと、カナダ各地の国際空港には必ずルーツの製品が置いてあるのも事実だ。成功の秘訣に迫るため、舞台裏をのぞいていみた。
創立者ドン・グリーン氏とマイケル・バドマン氏はともにデトロイト出身のアメリカ人。ふたりとも10代の頃からオンタリオ州北のアルゴンキン公園内のキャンプに毎年夏参加していた。キャンプファイアーやカヌー・トリップ、すみきった湖と森に囲まれた自然の中で、グリーン氏とバドマン氏のアウトドア志向のフィロソフィーとふたりの友情が培われた。
ふたりは1972年トロントで合流し、長年のフレンドシップはビジネスのパートナーシップとして新たにスタートした。
73年シンプルで健康的な靴「ネガティブヒール」を売る靴屋としてトロントに店をオープン。靴の評判が上々で、日ごとに販売数を更新し、翌年には1日2千足生産しないと、売り上げに追いつかないほどに。78年までに「ネガティブヒール」は100万足売れ、グリーン氏とバドマン氏は「ピープルマガジン」に大成功した事業家として紹介された。
ちなみに「ルーツ」という名称の由来は「足は地面に接しており、木にたとえたら根っこのようなもの」「根は有機体の還となる自然物」というコンセプトから。靴屋から始まったルーツは、今やカナダのアパレル業界では、トップのブランド商標となり、従業員の数も国内だけで千人を超えるまでになった。
当初から靴の製作にあたったコボレスキー一家(5世代に渡る靴職人)は、現在もルーツの革製品のデザインと製造を請け負っている。
最近は香水や石鹸などの化粧品や貴金属、メープル材とレザーを使ったシンプルな家具やシーツ、タオルに至るまで商品を広げたルーツは、今年に入ってなんとルーツ・エアーと称して空の運航を始めた。もちろん乗務員はルーツ製のおしゃれなユニフォームに身を包み、機内のシートはおなじみのルーツの革製だ。
カナダをこよなく愛するノン・カナディアンがCANADAそのものをズバリ売り込んだユニークさ。キャンピング、カヌーなどアウトドア志向を謳い、アイスホッケー、ビーバーといったカナダのアイコンを主張したこと。
これらがカナダ人に誇りとアイデンティティーを与え、ルーツ文化が確立したと言えるだろう。
初出「日加タイムス」1999年10月29日号より
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