
カナダに20年近く住んでいて、今だに失敗するのは、人の名前。こちらでは挨拶する時「おはよう」「さようなら」だけじゃ、失礼なの。いえ、エチケット違反ではないけれど、正しくは「おはよう、ジョン」とか「さよなら、アン」という具合に、ちゃんと名前を入れて呼びかけるのが、礼儀にかなっている。
北米では(ヨーロッパもそうだろうけど)ファーストネームで親しく呼び合うのが普通だから、会話の中にもポンポンと相手の名前を実に上手に入れている。そんな他人の会話を聞いていて、よし、今度こそ私も・・・と意気込むのだが、いざ口を開いて名前を言おうとすると、例えば相手がWilliamだったら、えーっと彼の通称はBillだったかしら、それともBilly?Will?と思い巡らせている間に、チャンスを逃してしまう。
そう、こっちの人のファーストネームは、たいてい通称があって、それぞれ個人の好みで通称を決めているから、覚えるのが大変。つまり、Robertなら、おそらく子供の頃はBobbyとかRobby、なんて可愛い通称だったかもしれないけど、成長するにつれてBobまたはRobと呼び名が変わることもありうる。それに家庭では、両親が子供を叱る時にわざと"Robert!"と仰々しく呼ぶ場合もある。ややこしいね、まったく。
私の夫の親戚には、Williamというおじいちゃんがいて、彼の通称はBill。Billの孫の名前もWilliamだけど、お孫ちゃんは通称がなくって、Williamとフルネームで呼ぶ。赤ちゃんの頃からWilliamと呼ばれていて、ちょっと皇室っぽいほどスノッブだったけど、彼のお母さんが"BillやBillyとは呼びません"とはっきり言っていたので、これも個人(親)の好みか・・・と感心したことがある。
男性の名前で数多いDavidは、Daveという通称があり、あら、彼の場合はどっちだったっけ?と不安ながらも"Hi, Dave!"と言ったあとで、夫から「彼はDavidだろ!」とにらまれる。いやはや・・・。
女性の名前もSusanの通称がSueで、SuzanneはSuzyになる。PatriciaはPatだったりPattyになったり、Trishという場合もある。夫の姪っ子にVickyという女の子がいて、彼女の正式名がVictoriaだということを最近知った。彼女の場合、今まで一度だってVictoriaという名前は手紙の宛名ですら、見たことがなかったから。もう一人のKimberlyという姪っ子は、通称のKimは絶対に使わずに、あくまでもフルネームのKimberlyを呼び名にしている。ほんと、人それぞれ。
我が家の場合、娘の正式名はEmi Eileen(ミドルネーム)。ファーストネームが日本名のエミだから、Emiと呼ぶほかにない。あえてニックネームをつけるなら「Em(エム)」かな?Emiは発音しやすいし、意味はスマイル(笑み)と教えると、すぐに誰もが覚えてくれる。
息子の場合、どうしても日本名で男の子の良い名前が思い浮かばなかったので、Jeffrey Koji(ミドルネームは洪二)にした。ずっとJeffreyとフルネームで呼んでいたのだが、彼が7年生になった時「ぼくはJeffと呼ばれる方が好きだから、これからはJeffreyと呼ばないでくれ」と宣言したので、びっくり。
おお、これも個人主義の国だからこそ、とわが息子の「はっきりさ」加減に恐れ入った。その日から息子の通称はJeffになった。
私の名前?ひらがなの「ゆみ」が本名。こっちの人たちからはYummy(おいしい!っていう意味)とか、UmmiだのEmyとか間違って呼ばれる。でも、そんな時、眉毛を片方だけピクッと上げて"NO. My name is Yumi. You know, Y, U, M, I, Yumi, OK?" なーんて、堂々と訂正したいところだけど、なんだか曖昧なままになってしまうのが、たまらなくニッポンジンの私だ。
2002年5月31日 |
ホーム‖戻る
Copyright (C) 2001 Yumi Schemmer. All rights reserved.
This site best viewed using 800 x 600 screen resolution and True Colour display.