エッセイ

とっても不思議なニッポン

 12日間の日本旅行を終えて帰ってきた。2年半ぶりの日本だったけれど、おどろきの連続だった。帰るたびにカナダ人の目で日本を見ている自分を発見する。そして、ニッポンの人たちにとっては、全く疑問でも何でもないことなのに、妙にこだわって納得できずに悶々としたりする。

 その1。テクノロジー大国ニッポンが健在していた。不況もリストラもなんのその、絶えず新製品が市場にあふれかえっている。今回びっくりしたのは、動画が送れるケータイのおでまし。誰もが最新型のケータイを持っていて、和音の着信ミュージックやカラー液晶ディスプレイなんて、ごく普通のモデルだ。私がカナダで使っている、ゴツくて重いケータイなんてアンティークもの。2年半前と変わったのは、電車の中や建物の中でケータイでしゃべっている人がいなくなったことだ。ペースメーカーを付けている人への配慮もあって、場内アナウンスで「ケータイはマナーモードにしましょう」としきりに呼びかけている。だから、電車に乗っているとケータイをじっと見つめ、メールを読み書きする若者が目立つ。親指だけを使って、すごいスピードで打ち込む様子は、ちょっと不気味な光景だ。

 その2。車のナビゲーター。名前をインプットするだけで、その人の家までの道順を女性の声と地図で、ていねいに教えてくれる。しかも距離と到着予想時間までも刻々と指示してくれるのだ。 電話番号を電話帳に登録していない人の住所はわからないらしいが、もしストーカーが悪用しようと思ったら、ナビゲーターは何と便利なツールだろう!この時代、もうプライバシーなんて「死語」なんだと、改めて実感した。

 その3。ブランド製品の大洪水。どうして、高校生がルイ・ヴィトンを持って歩いているの?援助交際でもしてるわけ?3人にひとりはブランドものを身につけていた。そうかと思うと、100円ショップに人だかりが。最近はラッキーナンバーをもじってか、88円ショップがお目見えした。「安かろう、悪かろう」では決してない。結構品質のしっかりした商品が多かったので、びっくりした。それにしても高いモノと安いモノの両極端の差が激しすぎる。友人は会社の慰安旅行で、京都「吉兆」でお昼を食べたそうだ。何とお値段4万円。一方、回転寿司で全皿100円均一なんているレストランができたり。。。

 そして、カナダへ帰国する当日、名古屋駅へ向かう車の中から、ショッキングな光景を見てしまった!それは、名古屋自慢の100m道路(幅です!)がずっと続く沿路に、次々と出来ていたホームレスの人々の小屋だ。幅の広い道路の上に高架高速道路が走り、ちょうど真下にあたる部分は、雨風がしのげる場所となり、ホームレスには格好の住まい。カナダでいうホームレスは、文字どおり家がない人だけれど、日本のホームレスは、隙間風を防ぐため青いビニールを張り巡らし、ちゃんとドアや窓のある立派な小屋にお住まいだ。ときどき食器棚、テーブル、椅子などの家具が車窓から見え、各戸には自転車が置いてある。のけぞってしまったのは、植木鉢が小屋の入り口付近にあったり、屋根の上にサテライトディッシュがちょんとのっていたとき。小屋は10や20の数ではない。とにかく100m道路が切れるところまで、延々と長屋のようなコミューンが確立していた。途中、ところどころにある公園に人が憩う姿はなく、その代り、鉄棒や柵を利用して布団がたくさん干してあった。このコミューンをはさむようにして、道路が両方に走っているので、ホームレスのお宅の数々を見物しながら名古屋駅に着いた。ああ、超衝撃な日本の素顔!行政は何か対策を考えているのだろうか?2005年の愛知万博までには、なんとかしてほしい。

 豊かさと貧しさが、ここまでのコントラストで迫ってくると、頭がクラクラする。ワタシの大好きなニッポンは、ますます不思議な国になっていく。

2002年3月31日



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