エッセイ

気をつけよう、レッカー業者のあくどい手口

 3週間ほど前のこと、ヤング・ストリートとシェパード・アベニューの交差点で自動車事故を起こしました。右へ車線変更する時、大型バンを運転する私が右後方をよく確認しなかったため、斜め後ろを走っていた小型車と接触してしまったのです。

 私のバンは右後ろのタイヤの上部ハブのペンキがこすれて剥げ、相手の車は左前のドアが少しへこんだ程度の損傷でした。お互いに免許証や保険会社のインフォメーションを交換して、事故の当事者同士は何の問題もなく対処しました。

 ところが!事故直後5分もしないうちに、呼んでもいないレッカー車が2台(同じ業者)私のバンのすぐ前に駐車し、2人のドライバーが、 「レイディー!このバンを運転するのは、すごく危険だ。事故の衝撃でタイヤが歪んでしまっている。このまま運転を続けたら、タイヤがはずれてもっと大きな事故になるよ」 と言うのです。

 初めての自動車事故で動揺している上、車のメカニックには疎いので、驚いて言葉もないうちに、バンはレッカー車に取り付けられてしまいました。ひとりのドライバーから名刺をもらい、彼がコリジョン・リポーティング・センターに連れていってあげると言うので、その言葉を信じてレッカー車に乗り込みました。

 ところがです!到着した場所は、あるカーディーラーのサービス部門でした。「いったいどういうこと?ここで書類を用意するの?」とカーディーラーの社員に聞くと、「いや、事故の報告はコリジョン・リポーティング・センターでしか扱わない」と言うのです。

 レッカー車のドライバーは「オッケー。コリジョン・センターに行って書類を提出したら、このディーラーへ戻ってこよう」とすましたもの。この時点で、私はこのレッカー車業者とカーディーラーがぐるになっているのでは、と疑い始めました。

 やっとコリジョン・リポーティング・センターに着き、書類を提出し、警察官の調書をもらいました。事故の損傷を調べた警察官が「これはマイナーな事故だから、このまま家まで運転しても大丈夫だよ」と言い、「レッカー車業者の言いなりになってはだめだよ。彼らはあれこれプレッシャーをかけてくるから」と助言してくれました。

 私はセンターの外で待っているドライバーに「自分で運転して帰るから」と告げ、さっきのカーディーラーに行くつもりはないと断りました。彼はあっさりと承知し、去っていきました。

 自分のバンを引き取る時、センターが立替えたレッカー車の料金139ドルを払わされました。(どうしてこんな支払いのシステムになっているのか疑問ですが・・・)

 ハイウエイを走るのが怖くなったので、沿線道路を時間をかけて北上し、帰路につく途中、先日タイヤを交換してくれたガレージに立ち寄り、タイヤが本当にダメージを受けているのか調べてもらいました。

 結果はすべて正常、どこも異状なしとのこと。女のドライバーだから足元を見られ、完全にだまされたことに気がつき、腹が立ってきました。

 そして、帰宅後コリジョン・センターでもらってきたパンフレットを読むと、「トロント市条例20_85により、いかなるレッカー車業者も、修理工場やカーディーラーを推薦することは禁じられている」とあります。バッグの中に入れてあった名刺を取り出してみると、それはレッカー車業者ではなく、カーディーラーの名刺。もう怒り心頭に達して、ギャーと叫びたい気持ちです。

 翌朝、まずコリジョン・センターに電話をして、苦情を訴えました。そこでトロント市のライセンス・オフィスの苦情専門課を知り、ことの成り行きをすべて話しました。そして2ページにおよぶ苦情文書を作成し、彼らがいい加減な情報で事故の当事者を混乱させ、条例に反してカーディーラーを推薦し、必要でなかったレッカー車のサービスを強制したと述べ、その料金の領収書を添えて提出しました。

 約1週間後、調査官から電話があり、このレッカー車業者は料金の払い戻しに同意し、トロント市条例に反した行為に対しては、厳重に警告を受けたということです。

 今回の出来事で、事故の起こりそうな交差点にいつも待機していて、事故があればチャンスとばかりに、餌食におそいかかるハイエナのようなレッカー車業者がいることがわかりました。皆さんも気をつけてください。

初出「日加タイムス」2002年2月22日号 投書欄



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