エッセイ

踊る言葉

 ここしばらく、日本にいる遠い親戚の中学生とEメールをやりとりして、とても面白かった。ビックリしたのは、いきなり「こんばんみー!」で始まり、主語も述語もない文章が続く。尻切れトンボのように「・・・・かと。」で終わっていたり、なんだかしゃべっている言葉そのまんまがメールされてきたみたい。そしておしまいの挨拶は「さようなりー!」だって。

 もっと面白い言い回しを教えてちょうだい、と頼んだら「おっはー(これはもはやクラッシック)」「久ぶり」「ぬんぬんぬーん」とか意味のわからない言葉がメールで送られてきた。

  国語審議会が眉をしかめて「なんたる日本語の乱れか」と嘆きそうだけれど、こんな日本語は間違いだろうか?乱れている、と一言で片づけていいものだろうか?

 私には、言葉が生き生きと踊っているように思えてならない。水のように形を変えていく日本語を無邪気に創る若い人たちが、ちょっとうらやましい。

 そういえば、私の子供たちもインターネットを通して友達との交信は、まったく新種の英語だ。ティーン・エージャー語とでも言おうか。

  'sup? (What's up?) ttyl (talk to you later)とかは序の口で、chill = (relax), mint, hype = (cool), solid, sick, phat = (good), bones = (money), dig = (understand)となると、もう英語の観念を超えてしまっている。

 昔はHelloと言う代わりにHeyと言うと、年配の人から「Hey is for horses」とたしなめられたものだが、今やTVドラマの中で弁護士が「Hey!」と挨拶し合っている時代。

 日本人はもともとキャッチフレーズを作るのがうまいと思う。これまでに出会ったコピーの中で印象に残っているもの・・・「でっかいどう、北海道」「フルムーン」「ゆとりっぷ」・・・最近の傑作・・・「バツいち」「アガルト(更年期)」「パラサイト」。

 これらの言葉をカタカナの氾濫などと世間では批判する人もいることだろう。

 でも私は手垢にまみれた言葉をもっともらしく使うより、新しく流動的な言葉を巧みに繰るようになりたい。

 英語も日本語も、弾む言葉は楽しく心に響くから。


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