エッセイ

困った贈り物

 人からもらったり、差し上げたり、プレゼントは社交の中でも大切な役割を果たしている。誕生日やお祝いごとに、その人が喜びそうなプレゼントを探しあて、贈ったその場で喜ぶ顔を見ることはとてもうれしい。

 でも、たまーに、あげなければ良かったー、と反省するプレゼントもある。だから、たいていは飲食物(ワインやチョコレート類)か花、またはギフト券、現金という無難なところで済ませることが多い。私自身のフィロソフィーでは、もらった後、いつか形が無くなるプレゼント(上記のものは、すべてそう)が最高だと信じている。

 困るプレゼントとは、壊れない限りいつまでたっても形が残るもの。例えば、アート系やインテリア系、そして一番困る「ご本人のお手製グッズ」。気に入ればよいのだけど、人の好き嫌いはさまざまだから、ひぇー、こんなもの、どうするべー!とお手上げのときは本当に困る。

 夫の友人に、その手の「困ったプレゼント」ばっかりくれる人がいる。引っ越してすぐの新居お祝いは、庭で使う「トーチ」だった。アルミ製のトーチにシトロネラオイルを入れて灯をともすと、虫よけにもなるという。しかし、我が家のように裏庭に馬がいて、干草があって・・・というような環境には、不適当なプレゼントだ。だって、火事を最も心配しているのだから。

 夫の誕生日に、彼女は自分で描いた馬の頭部の絵をくれた。しかしである!その馬が限りなく醜く、その上、耳が後ろに寝ているのだ!馬のジェスチャーで、耳を後ろに倒しているのは、機嫌が悪い証拠。なんったって、そんな意地悪な馬のポートレートを描くのよー!彼女の厚意はありがたいが・・。 この絵はベースメントのどこかに葬られた。ゴメン。

 そして、私の誕生日に彼女から添付ドキュメントつきのバースデー・メールがE-mailで送られてきた。添付を開けてみると、
「お誕生日おめでとう!あなたに油絵1日レッスン・コースを差し上げます。 私の友人○○の自宅でのプライベート・レッスン後、あなたが描いた1枚の絵を持ち帰るのです。きっと満足いく1日でしょう!」とある。えっー、何これ?
「ママ、ずいぶんな侮辱じゃないの?ママはすることがなくって、いつも暇にしてるみたいに思われてるのよ」と娘は言う。

たぶん悪気はないのだろうが、あんまり胸躍らないプレゼントだった。油絵は中学の頃、美術部に属していたので、もううんざりするほど描いたし・・・。それに最終的には「私は絵の才能がない」ことも確認できたし・・・。

それから数日たって、友人は「どう?誕生日のプレゼント気に入った?」とストレートに聞いてきた。

 「ありがとう・・・でも私ね、忙しくって、レッスンに行く時間がないのよ」とお茶を濁したのだが、彼女には私の本心は・・・わかってないだろうな。

2002年8月



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