エッセイ

おデブな国

 カナダはおデブが多い。統計によると、全国成人の50%以上が肥満だという。町を歩くと、太った人がいかに多いか思い知る。特に夏はタンクトップやショーツの薄着なので、ブヨブヨの三段腹や巨大なお尻に圧倒される。でも、よくまあ恥ずかしげもなく、あんなに体形丸見えの格好ができるなあ。

 どうしてそんなに太ってるのー?と彼らを観察していると、おデブほどファーストフードが好きで、しかもフレンチフライやオニオンリングの山盛りを軽々と平らげる。そのあとデザートでアイスクリームを、もちろんダブルスクープ(大盛り)で召し上がっていたりする。

 こちらのレストランの食事量は、ものすごく多い。日本の標準でいったら、1皿で3人分ぐらいある。こんなに沢山食べていたら、誰だって脂肪のかたまりになってしまうよ。

 若い頃は華奢できれいな白人女性が、結婚して子供を産んだとたん、ぶくぶくのアザラシに変身してしまう。ハンサムで素敵だったご主人は、年とともに頭はすっかり薄くなり、ビール樽のようなお腹を突き出してカウチポテトに変貌。こんな似たものカップルが、カナダにはわんさといる。

 私の過去から今までの「失言・反省語録集」をひもといてみると、そのほとんどが肥満関係の「おもわずポロッ」だ。

 その1。長女を産み、入院中の病院の廊下で、お腹をかかえるように歩いている若い白人女性に会った。

 私「あら、あなたの赤ちゃん、もうすぐ生まれそうね」
 彼女「もう生まれたわよ!」

 そうなの、こっちの人って、産後もほとんど体形が変わらないの!あの時の私はきっと赤面どころではない、青ざめてしまったと思う。

 ちなみに私の場合、子供はふたりとも帝王切開だった。手術直後にペッタンコになったお腹を見て、看護婦が「ひぇー、こんなにすぐお腹が平らになったお産は、初めてだわ!」と感激していた。

 その2。陶芸教室に通っていた頃、クラスに入ってきた女性にあいさつ代わりに「赤ちゃんの予定日は?」って聞いたら「私、妊娠してません!」と言われてしまった。彼女、オーバーオールのパンツ姿で、お腹はまるで臨月っていう感じだったのに。あーん、ごめんなさい、傷つけてしまって!

 その3.まだこの話はつい先週のこと。近所に住むヘザーが長男と生まれてばかりの次男を乳母車に乗せてやってきた。しばらくぶりにヘザーに会って

 私「えーっ、赤ちゃんが生まれたの?あなたが妊娠してたなんて、知らなかったわ」
 ヘザー「・・・・・」
あとから帰宅した夫にニュースを伝えたら、
 夫「まさか、妊娠してたのを知らなかったなんて言わなかっただろうね」
 私「えっ、そう言っちゃいけなかった?」
 夫「バカっ!相手には、妊娠してたのを気がつかないほど、あんたは太ってるって聞こえるじゃないか」
 私「あっそうか・・・」と反省。確かにヘザーは、かなりヘビー級なのだ。

 以上、すべてが肥満と妊娠に関係している内容ばかり。気をつかっているつもりでも、ついポロっと失言してしまう。

 こういう環境で生活しているので、たまに日本を訪れると、日本人のほとんどが痩せて見える。たとえ日本の人口が1億2千万を超えていようが、電車に乗ってもバスの中でも、暑苦しいほど太った人はお見かけしないので、もう感激のあまり涙が出そうになる。

 レストランで運ばれてくる食事が、小さな器にコマゴマと少しずつ入っていると「そうなのよね。これが日本人の太らない秘訣よ」とひとりごちて嬉しくなる。

 まさに"You are what you eat"の格言を思い出しながら、うなずいてしまう私だ。

2002年7月20日



ホーム戻る

Copyright (C) 2001 Yumi Schemmer. All rights reserved.
This site best viewed using 800 x 600 screen resolution and True Colour display.