
・・・乗馬界話題のトレンディーな馬を試乗してみたら・・・ 今、北アメリカで最も注目されている馬は、ロッキーマウンテン・ホース。
その誕生は1800年代後半にさかのぼるが、他の馬種に比べると、ずっと歴史が浅い。ロッキー山脈地方で生まれ、ケンタッキーに運ばれてきた1頭のオスの子馬が、評判となった。アパラチア山脈の起伏が多く岩だらけの土地を耕し、馬車を引き、子供たちの乗馬に使われて万能性を発揮したばかりか、厳しい冬も雨風がしのげる程度のシェルターで充分という頑丈な馬だった。 耐久力がある上、おとなしい性格なので、安全な乗馬が楽しめるロッキー・マウンテン・ホースをもっと増やそうと、ケンタッキーでトレイル・ライドのビジネスに関わっていたサム・タトル氏が、本格的に繁殖させた。当時の種馬、オールド・トビイの血は現在ほとんどのロッキー・マウンテン・ホースに流れている。
ところで、明確にしておきたいのは、「サラブレッド」を純血の代名詞だと思い込んでいる人が沢山いるが、これは間違い。「サラブレッド」は「サラブレッド種」という純血種であり、「アラブ種」や「モーガン種」を純血だからといって「サラブレッド」とは呼ばない。あえて言うなら「Purebred = ピュアブレッド」が正しい。 北アメリカで登録されているロッキー・マウンテン・ホースは、わずか5千頭弱。最近需要が増えているが、もともと数が少ないため、1頭5千ドルー1万5千ドルという高値の花だ。 いったい何がロッキー・マウンテン・ホースをトレンディにしているのだろうか。その秘密に迫ってみよう。 トロントから約40Km北西に位置するカレドンは、オンタリオ州内でも屈指のホース・ファームが集まる乗馬村。その中のCoffey Creek Farmを訪れた。
約100エーカーの牧場内で、馬の世話と調教を受け持つトレーシーさんは、
チョコレート色の身体に見事なブロンドのたてがみとしっぽ。前髪は目を覆うほど長い。チョコレート色とブロンドの組み合わせはロッキー・マウンテン・ホースの代表格で、最も人気のある色だ。 身体はそれほど大きくなく、15ハンド(1ハンド=4インチ)ほど。ブラシをかけたり、蹄のそうじや鞍をつける間、ずっとレイシーはおとなしくリラックスした様子で立っていた。 さあ、いよいよ屋内アリーナで乗馬を始めよう。鞍は希望通りイングリッシュ・サドル(英国式)だ。まずはゆっくり歩かせてみた。中型の馬なので、歩幅が狭いためかタッタッタと結構早い歩みだ。のらりくらりの歩調より、早めのスピードが気に入った。
しばらくすると、アリーナの真ん中に立つトレーシーさんが、 両脚を絞めて馬の横腹を圧迫すると、レイシーはトロットを始めた。でも、これはトロット(速足=はやあし)じゃない!普通の馬はトロットの時、右前肢と左後肢が同時に前へ出て、左前肢と右後肢が同時に出る。だから、2拍子の肢運びで、ライダーは自然に上下に身体が揺れることになる。 ところが、レイシーの肢運びは、右前肢と右後肢が同時に出て、次に左前肢と左後肢が同時に出ている。これは4拍子で、ライダーの身体は上下に揺れない!鞍につけている腰が左右に、ちょうどマリリン・モンロー・ウォークのように揺れる。面白いこと! これが、ロッキー・マウンテン・ホースの最大の特徴で、4ビート・ゲイトという生まれながらの歩様(=ほよう)なのだ。4ビート・ゲイトができる馬は、他にアイスランディック、パソ・フィノ、テネシー・ウォーキング・ホースなどがある。 水を入れたコップを持ったまま乗っても、水がこぼれないと言われるほどスムーズだ。だから乗り心地が良いし、初心者や高齢者にも適した馬と言われている。 アリーナでゲイトに慣れる練習をした後、トレーシーさんの案内で、100エーカーの牧場内に広がる森林を野外騎乗した。ロッキー・マウンテン・ホースの身体にやさしい揺れを楽しみながら・・・。
初出「日加タイムス」志摩夕美のやじ馬通信第2話2002年2月1日号 |
ホーム‖戻る
Copyright (C) 2001 Yumi Schemmer. All rights reserved.
This site best viewed using 800 x 600 screen resolution and True Colour display.