
ここで使われる馬は、「リピザーナ」と呼ばれる馬種で、スロバキア地方のリピーザという小さな村が馬の誕生地。生まれたときは、ほとんど真っ黒な濃い茶色なのに、4歳から10歳ごろまでには、真っ白に変身する不思議な馬である。
1572年の創立以来、リピザーナのスタリオン(去勢していない馬)による馬場馬術を極め、現在もその伝統を守り続けている唯一の乗馬学校だ。
1918年まで、その優雅な乗馬技術は皇室の前でしか披露されなかったが、第一次世界大戦後から一般に公開するようになった。
8年前の夏休みに家族でウィーンを旅行したとき、リピザーナのパフォーマンスを見ることができたのは、幸運だった。なにしろ世界的に有名なので、何ヶ月も前から予約して、やっとチケットが手に入るくらい人気の高いアトラクションだからだ。
騎手を乗せるリピザーナたちは、非のうちどころのないほど美しい。鍛え抜かれた筋肉は白い毛の下でうねり、どんな動きもすべての馬の足並みが揃っている。
クラッシック音楽の流れる中で、困難な馬術を次々に披露するパフォーマンスは、まさに馬と人との優雅なバレエである。
皆さんは馬がスキップできるなんて信じられないだろうが、それだけではなく、ピアッフェ(足踏み)、パサージ(斜め歩)、クルベット(竿立ち)、カプリオーレ(四肢で同時にジャンプし、後肢を伸ばす)など、ウルトラC級の馬術が連続して繰り広げられるのだ。
馬を訓練する人間の英知と、学習力や記憶力に長ける馬の能力とが100%見事に集約された結果をまざまざと見せてくれる。
気高い芸術とも言うべきリピザーナの高等馬術は、乗馬の知識がない人でも充分楽しめるので、ウィーンを訪れたらぜひ、ご観賞をお奨めする。
(2003年10月1日) |
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