
ところが、馬は大きな動物なので、始終一緒にいるわけにはいかず、世話をするときだけ、乗馬するときだけが、馬に接する時間であり、朝から晩まで、お互いに息のかかる距離で生活できない。
自分だけの馬を買ってみてから、馬に悪い癖が見つかったり、乗り心地が悪かったり、どうしても相性が合わなかったりすると、次の馬を探して自馬を売ることになる。ちょうどマイカーを買い換える感覚に似ていると言ったら、愛馬精神いっぱいの人から叱られそうだが。
一番最初の馬はレイディー。姉御肌のモーガン種のメスだった。気の強い馬だったので、森の中を外乗するときは、スピードをコントロールするのが大変だったが、不思議なことに落馬はほとんどしなかった。何かにびっくりして横とびしたり、突然立ち止まって、その反動で私が落ちても、食いしん坊のレイディーはその場に止まって、道端の草を悠々と食べ始めるのだった。
レイディーを手離すときが、一番辛かった。悪い癖はなかったし、健康そのものだったが、単に私には向いていないということで、乗馬の上級者に売ったのだ。
子どもたちが小さかった頃は、彼らのためにポニーや小さめの馬を飼っていた。その中の1頭がトントである。老衰で亡くなるまで、私たち家族に安全で楽しい乗馬を教えてくれた。(詳しくは当HPの「片目のトント」に書いてあるので、興味のある人はどうぞ。)
トントのほかに、もう1頭、我が家のファームで亡くなった馬がいる。まだ3歳だったクォーターホースのクレイマーだ。コリック(仙痛・・腸がねじれてしまう突発的な症状で致命的)を夜中に起こし、翌朝、私たちが起きた頃はもう手遅れの状態だった。獣医に安楽死させてもらうより手はなかった。このときも、涙が枯れるほど泣いた。
たった2度でも、馬の最期を看取るのは、しばらく立ち直れないほど、落ち込んでしまうものだ。生き別れで馬を手離すほうが、ずっと心安らかでいられる。だから、私はウマ遍歴を重ねているのかもしれない。
(2003年7月1日) |
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